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BlindWatchmaker


ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?〈上〉
リチャード ドーキンス Richard Dawkins 中嶋 康裕 遠藤 知二 遠藤 彰 疋田 努
早川書房 (1993/10)
売り上げランキング: 221137
おすすめ度の平均: 3.0
4 人間が生きる意味、人類の目指す先を知った
2 古い



「ブラインド・ウォッチメイカー」

「盲目の時計職人」という意味。「利己的な遺伝子」で一世を風靡?した、リチャード・ドーキンスの著作。
これ自体、既に15年以上前の本なので、今更というのも今更なんだけど。
上下巻に分かれているこの本、今でもブックオフでよく見る。

読んでみて、興味深かったことについて書いておこう。

コンピュータにおける、進化のモデル(おそらく当初はBasicで書いたとおもわれる)が出てくる。
「バイオ・モルフ」と呼ばれている。おいらでも組めそうなプログラムだ。

プログラムの喜びと面白さは、「思い通りのこと」の実現みたいなものもあるけど、計算が複雑であることやランダムな要素が入ることで「思いがけない」ことがわかったり、見えたりする部分にもあったりする。
ドーキンスが使ったこのプログラムは、ランダム性(突然変異)と恣意的な選択(自然淘汰)をモデル化したものだ。ドーキンスにとって「バイオ・モルフ」は、先の後者「思いがけない」タイプの特性を持っていたようだ。
「バイオ・モルフ」とは目的もロジックも違うけど、生き物っぽい動きというものに、表現の上の目的から興味をもっていたので、なんかよくわかる気がした。

ところで「バイオ・モルフ」の進化のパタンは9個の遺伝子に支配されているので、9次元空間を埋める様々なパタンというものが想像される。
こういう多次元空間の把握って(おいらを含めて)普通の人にとってはとても難しくて、3次元を越えた次元の表現方法は基本的に何らかの断面とか切片にしてやる必要がある。
この本の中では、多次元空間の中であっても任意の3点を取ることで2次元平面の断面図を見て取ることができるというのがあって、なんかすごくわかりやすかった。
紙の上では表現難しいけど4点を取れば3次元で表現できるし、2点だったら直線上にマッピングできるということ。分析の基本かも。

「バイオ・モルフ」による遺伝子の特性が「設計図」ではなくて「調理法」に似ているという点も興味深い。
プログラムがとりあえずな作りだったため、当初は変異後の現在の遺伝子特性を記録することができなかったらしい。
数時間、できあがった絶妙な表現型パタンとにらめっこしていたが、あきらめたとのこと。
2度と同じモノはできなかったんだそうだ。

しかし、この分野って何か進展あるのかな?この時代に比べると演算処理はもの凄く速くなったと思うのだけど…。

さて、下巻はどちらかというと、他の諸説と自説の立ち位置というような話しがメイン。

その中では、分類学=タクソノミーについての話しが興味深かった。
なぜかというと、ウェブ制作の上でも情報設計は重要で、そこで分類という話しが必ずでてくるからなのだけど。

通常の分類というのは、恣意性に基づいている。
つまり、ある母集団があって、それを「A,B,C」とわけても、「あ,い,う」と分けてもかまわない。
どちらにするか?という判断は、使う人の多くの直感と近い分類になっているかどうか?ということにかかってくる。
それから、必ずといってよいほどコウモリ問題というのが発生する。これは、Aに含まれるがCでもありそうだ、というようなものだ。

しかし、遺伝子レベルで見た種の系統図は、必ず2分木であり、理論的には1つの正しい完全な入れ子をなしている。
親戚の種であっても、交配が不可能(子孫を残せない)な差異が生じると、以後遺伝子がシャッフルされることはないからだ。
ミトコンドリアの例など、ごく少数の例外もあるけど、ほぼこの原則が当てはまる。

まぁ「利己的な遺伝子」や「ミーム」みたいに衝撃的な知見というのはないけど、理解が深くなっておもしろかったよ。

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